夢がないという劣等感

DREAMGATE

 「私は何がしたいんだろう」。原田の大学生活は、この答えを見つけようと葛藤した日々だった。入学当初、国連で働きたい、外交官になりたいと目を輝かせて語る同期の学生の中で、明確な夢がなかった原田は、強い劣等感と孤独の中にいた。勉学でも自信が持てず、次第に「どうせ私は落ちこぼれだから」「期待されるべき人は他にいるんだ」と自分で自分を見限っていた。

「みんな貧困解決って言うし、自分もそうなのかな?」

 そんな原田であったが、“途上国の貧困解決”に熱意を傾ける友人に囲まれ学ぶ中で、次第に自分も貧困解決に貢献したいと思うようになった。少なくとも「そうだと言うこと」が正解であるような気がしていたのだ。しかし、夢をモチベーションに努力を続ける友人と比べ、同じように熱い思いを持てない自分にも気がついていた。今ここで自分の夢を否定すればやりたいことがなくなってしまう―そんな恐怖から、“自分が本当にやりたいことは何なのか”という問いに向き合えない日々が続いた。

「これが本当に私の やりたいこと?」

 原田の違和感は日に日に確信へと変わっていった。3年生前期には、『途上国』をキーワードに決めたフィリピン留学を目前に、「途上国に一生を捧げるほどの情熱を持てないんじゃないか」という気持ちが原田を襲った。これまで目を背けてきた問いから、ついに逃げられないところまで来たのだ。やりたいことが全て白紙になった気がした。「何のために自分が途上国に行くんだろう」そんな悩みを抱え、キャリアセンターへ向かった。
 自分の夢は他人に流された結果なのではないかと、素直に相談した。しかし、返ってきたのは意外な言葉だった。―「少しでも心が動いたのなら、自分の中にその想いがあったんじゃない?」「影響されたのも含めて原田さんなんだよ」。
 今まで、夢への意志の強さに自信が無かった原田だったが、この言葉によって大きな肩の荷が下りた。「自分の中に途上国への気持ちが少しでもあるのなら、実際にこの目で見て、自分の心がどう動くか確かめてみたい」。そんな気持ちでフィリピンへと旅立った。

「自分の中にあるものだからこそ共感できた」

DREAMGATE

 フィリピンでは確かに貧困が身近にあった。解決すべき問題であるとも思った。しかし、やはりどこか他人事に感じてしまう自分がいた。そんな原田は、意外な場所で自分自身を大きく揺さぶられることになる。それは、貧困地域の劣悪な居住環境を目の当たりにしたときだった。日に幾度となく繰り返す地震。村中を壊していく洪水や台風。そして、それらに到底耐えられない粗末な造りの多くの民家。今まで感じたことのない衝撃が原田の全身を貫き、しばらく動けずにいた。2011年に起きた東日本大震災で、原田自身が経験した恐怖が蘇ってきたのだ。
 「いつここに住めなくなるかわからない」、「いつ死ぬかわからない」という恐怖に、日常的に置かれている人たちがいる。今まで自分の夢すら自分のものだと思えなかった彼女に、心の底から何とか解決したいという気持ちが湧いていた。「自分に同じ恐怖心があったからこそ、同じ思いを持つ人だからこそ、強くやりたいと思えたんです」。私は何がしたいんだろう-3年間探し続けた問いの答えを、 ついに見つけた瞬間だった。

やっと掴んだ自分だけの夢

 帰国後は「居住環境の改善を通して、安心して暮らせる社会づくりに携わりたい」という思いを胸に就職活動を始めた。エネルギーや建設、総合電機業界など多くの選択肢の中で迷いながらも、自分の思いを最後まで貫き、最終的に大手総合電機メーカーより内定をもらった。「どうせ私は落ちこぼれだから」、そう呟く彼女の姿はもう見えない。強烈な劣等感の中にあってもなお、勇気を出して自分自身と向き合ってきた。そんな隠れた闘いの末に、素直な自分の思いを見つけた原田。彼女の本当の挑戦は、まだ始まったばかりだ。

原田彩乃の4年間

1. 入学式

新たに始まる学生生活への期待に胸を膨らませ、創価大学に入学しました。

2. GCP(グローバル・シティズンシップ・プログラム)

力をつけるため、1・2年次は勉強に徹しようと決意しました。海外で活躍される先輩の姿を励みに、そして周囲の友人達から刺激を受けながら、充実した日々を過ごすことができました。

3. フィリピン研修

2週間のフィリピン研修では、現地の教育問題について現地調査を行いました。初めて訪れた新興国の活気に圧倒されると同時に、貧富の差の大きさを感じ、フィリピンという国をもっと知りたいと思うようなりました。

4. ゼミ

2年次後期から、開発経済学を学ぶゼミに入りました。ゼミ活動を通して、学問だけでなく様々なことを学ぶことができました。教授をはじめ、ゼミで出会った同期・先輩・後輩の存在が私の大学生活の活力の源になりました。

5. 交換留学(フィリピン)

フィリピンのアテネオ大学に10か月間交換留学しました。留学中は現地の学部生に混ざり、開発経済学等の授業を履修しました。この留学がきっかけで、「人々が安心・安全に暮らせる社会を実現したい」という想いを持つようになりました。

6. ビジネスコンテスト

ゼミ生8名と共に、介護問題解決のためのプロジェクトを行いました。ビジネスコンテストにおいて3位入賞を果たすことができ、チームで1つの目標に向かって努力をして結果を出すことの難しさと喜びを感じることができました。

7. 就活・内定

大手総合電機メーカーより内定をいただきました。

8. CSS(キャリアサポートスタッフ)1

創価大学への恩返しのため、1・2年生のキャリアサポートに日々奔走しました。

1CSS(キャリアサポートスタッフ)は進路が決まった4年生のグループで、主に1、2年生のキャリアサポートを行う。

9. 卒業

社会で活躍できる人材になるため、創価大学での学びと決意を胸に、どこまでも誠実に頑張ります!