「あなたがアフリカに行っても役に立てないよ」

 空調機の音がやけに大きく聞こえる。 アフリカに行って、貧困に苦しむ子どもたちを救いたい。高校生のころからの夢だった。 だが阿部は、目の前のキャリアカウンセラーに返す言葉が見つからなかった。

アフリカが私を呼んでいる

 「きっかけは、テレビを見たことだったんです」。 高校生の阿部は、ふと見たドキュメンタリー番組をきっかけに、アフリカに興味を持つようになる。 独特の文化、陽気な人々。そして、貧困や飢餓の蔓延する現状。 アフリカが私を呼んでいる―。民族音楽を奏でるアフリカの少女を見て、将来は必ずアフリカに行こうと決めた。 その後、創大に入学した阿部が大学生活の目標に掲げたのは、「アフリカへの留学」だった。「入学したばかりの頃、私は絶対にアフリカ留学へ行こうと決めていました」。

わざわざ行かなくても、その航空代を寄付したほうが、
多くの人を救えるよ。

 そんな阿部に転機が訪れる。 アフリカへの夢をより具体化するために、キャリアセンターでの面談を申し込んだ。 意気揚々と自らの夢を語る阿部。 しかし、「アフリカに留学したい」「貧困問題を解決したい」と語った彼女にキャリアカウンセラーが放った一言は、阿部が予想だにしないものだった。「あなたがアフリカに行っても何の役にも立てないよ。わざわざ行かなくてもその航空代を寄付したほうが、多くの人を救えるよ」。 あまりにショッキングな一言だった。 高校生の頃から一途に追いかけ続けてきたアフリカへの夢。 それに対する自分の浅はかさに気づかされた瞬間だった。

「思いだけじゃ何もできない」
現実は、決心へ続くきっかけを与えてくれた。

DREAMGATE<ケニア留学中の写真>

 「思いだけじゃ何もできない」 キャリアカウンセラーとの面談を終えた阿部は、そう痛感した。「それまでの私は、ただ“アフリカの人々に貢献したい”というだけで、中身がありませんでした。それをカウンセラーの方は教えてくださったのだと思います」。 この出来事は、阿部に火をつけた。 アフリカの貧困問題解決に貢献するには、どうしたらいいのか。阿部は、文字通り"死に物狂い"で勉強した。 授業や女子寮の諸活動に追われる阿部が机に向かえるのは、既に日付が変わろうとしている時刻だった。 眠い目をこすりながら、社会調査の本を読み、英文でエッセイを書く。気がつけば、外は明るくなっている。 ベッドに横になる時間すら惜しく、机に突っ伏して寝ているところを寮の管理人さんに起こされた事も、一度や二度ではなかった。「やっている間は、本当に辛かったです。けれども、あの時のカウンセラーの方の言葉を思い出しながら挑戦し抜きました」。そして大学3年。阿部は、ナイロビ大学への交換留学を勝ち取った。「そのことをご報告したら、カウンセラーの方は本当に喜んでいただけました。あのときの面談があったからこそ、アフリカの夢を追い続けられたのだと心から思います」。

IT業界の影響力に魅せられ、果敢にチャレンジ。
日本マイクロソフトから内定をいただくことができた。

 留学中に阿部は、積年の思いを晴らすように様々なことに挑戦した。寮生活、インターンシップ、ボランティア…。 ますます強くなったアフリカへの思いを胸に帰国した阿部は、就職活動を始めた。就活の軸としたのは、もちろんアフリカだった。 「どの業界・企業ならば、自分の夢を叶えられるのか真剣に考えました」。 なかなか答えは出なかった。それでも、様々な就活イベントに足を運び、多くのビジネスパーソンと話した。その中で阿部が注目したのは、IT業界だった。 途上国支援のためには、インフラや建設も重要である。しかしITは、よりスピーディーに、かつ劇的に人々の生活を変える力を持つ。阿部は、IT企業の採用試験を受けることを決めた。 その数ヵ月後、 阿部は、IT業界の雄・日本マイクロソフトから内定をもらった。 「様々な方のお陰でこのような結果を得られたのだと思います。特に、キャリアカウンセラーの方には、本当に感謝しています」。 アフリカへの思いを抱き始めて5年。 阿部の挑戦は、まだまだこれからである。

阿部薫子の4年間

1. 入学

DREAMGATE

「アフリカの人々の役に立ちたい」その想いで創価大学に入学しました。また、入学式で創立者にお会いし激励を受け、大学時代は勉学に精一杯取り組もうと決意しました。

2. 英語の勉強

アフリカへの交換留学を志し、TOEFLの猛勉強を開始しました。分厚い単語帳を常に持ち歩き、数か月に一回は必ず模試を受けていました。スピーキングの力をつける為、一人部屋で今日の出来事を英語でつぶやく日もありました…。

3. フィリピン研修

DREAMGATE

2週間のフィリピン研修では、現地の医療現場を観察し、その課題と解決策の提案を現地の大学で行いました。これまで学んできた英語が活かせたと思う場面もありましたが、さらに現地学生との議論を深めるために英語力をつけたいと思いました。

4. インターンシップ(自己開拓型)

それまで勉強に専念していたので、実際の社会に飛び込もうとインターンを決意。2か月間9:00~17:00でIT企業にて働きました。BtoB企業だったので、普段は知ることのない企業の役割を学ぶことができました。

5. ケニア・ナイロビ大学留学

DREAMGATE

ケニアのナイロビ大学に11か月間交換留学しました。アフリカの今後について学びたいとの想いから経済学を専攻しました。経済開発における問題点をアフリカの視点で学んだことは、貴重な経験になりました。

6. インターンシップ(留学中)

一人でも多くの日本人にケニアについて知ってほしいとの想いで、日本人向けのケニア情報サイトの運営に携わりました。ニュース担当だった私は、毎日現地新聞を精読し、日本人が興味を持ちそうな記事を翻訳・編集し、配信していました。

7. 就活合宿

「創価大学に恩返しする就職活動をしよう」との想いで挑戦した就職合宿。夜も徹して就活の相談にのってくださった先輩、真剣な表情で面接対策をしてくださったOBOGへの感謝の気持ちが溢れ、必ず結果を出そうと決意しました。

8. 内定

日本マイクロソフト株式会社より内定をいただきました。

9. CSS (キャリアサポートスタッフ)1

「創価大学世界一」のために、後輩を自分以上の存在にする挑戦をしました。

1CSS(キャリアサポートスタッフ)は進路が決まった4年生のグループで、主に1、2年生のキャリアサポートを行う。

10. 卒業

いよいよ社会へ出るスタート。創価大学のため、会社にとって「なくてはならない人」になる決意です!